2026年4月8日(水)から開催のJapan IT Week 春での「パキスタン・パビリオン」出展に先立ち、デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社主催により、「AI社会実装勉強会 – 松尾教授, Yasar教授から学ぶ社会トレンド – 」が東京千代田区のDeloitte Tohmatsu Innovation Parkにて開催されました。
今回は前回のICT産業全体の紹介から一歩踏み込み、AI(人工知能)分野における日本・パキスタン連携の可能性にフォーカス。大手製造業、IT企業、AIスタートアップなど多数の日本企業が参加し、研究・産業・政策の三層から具体的な協業の糸口を探る場となりました。
開会挨拶
冒頭、JICA ガバナンス平和構築部 SI・DX室 副室長 筱正雄氏より本セミナーの趣旨説明が行われました。またJICAにとってのDXとは単なる技術の一律導入ではなく、研究・実装・国際連携を結びつけ、現実の課題解決につなげるプロセスそのものであり、本日の議論がその実践例となることへの期待が述べられました。

続いて、駐日パキスタン・イスラム共和国特命全権大使アブドゥル・ハミード閣下が登壇し、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会としてのSociety 5.0の重要性に触れ、パキスタンが提供できる価値について述べられました。

パネルディスカッション – AI研究と社会実装の最前線
本セミナーのメインセッションとなったパネルディスカッションには、以下の3名が登壇しました。
- 東京大学 松尾豊氏 (松尾研究室主宰、内閣府AI戦略会議座長)
- パキスタン国立科学技術大学(NUST) パキスタン国立人工知能センター(NCAI)
創設委員長プロジェクトディレクター Yasar Ayaz氏 - モデレーター:デロイト トーマツ ベンチャーサポート CVCユニット長 井村賢氏

パキスタンがオフショア開発の位置づけから技術パートナーへと変貌した理由
「かつてのオフショア開発拠点から、なぜ今は技術パートナーへと変貌しつつあるのか」という井村氏の問いに対し、Yasar教授は、前提として現代の生成AI時代においては、既存のAPIを利用してその上に何かを作るだけでは、ビジネス上の強みにはならない点を指摘。そして現代におけるビジネス上の強みとは、技術をローカライズした上で独自の価値を付加することだと述べられ、それがパキスタンの強みでもあると強調されました。
また、パキスタンのAI分野における強みの観点では、「高度な専門性」と「圧倒的な若手人材の層」に集約されることを、古くから実績のあるコンピュータビジョン分野での事例や欧米企業による開発拠点の存在、人材面ではLLMの微調整やIoTなど、最先端の実装スキルを持つ人材が数万人規模で輩出されている点を例に述べられました。

松尾教授が見たパキスタンテック人材の評価
日本におけるAIの第一人者である松尾教授は昨年パキスタンを訪問した際の実体験を踏まえ、「パキスタンのテック人材は非常に高い技術力を有していること」、また「パキスタンの人々は穏やかで、日本人と非常に相性が良い」、そして、Yasar教授についても触れ、「Yasar教授のラボには社会実装に直結する最先端プロジェクトが数多く走っており、AI戦略のリーダーとして世界トップクラスの一人」と高く評価されました。

パキスタン企業2社によるピッチ
当日は、様々な事業課題を抱える日本企業の参加者に対して、確かな実績と高い技術力を有する2社によるピッチが行われました。
● AB Ark
日本企業との協業実績が豊富なEVIACは、AIエージェントの開発やLLMのファインチューニングなど、企業の業務効率化や売上向上を支える高度な受託開発を提供しています。自動リード獲得や大規模な画像処理など、現場の課題を解決する実践的なAIソリューションの実績が強み。
Website: https://www.abark.tech
● AI HIVE
パキスタン国立AIセンター発のスピンオフであるAI-Hiveは、日本の大学と共同開発したAI歩行評価システムや脳波制御の車椅子など、ヘルスケア領域で優れた実績を誇ります。更に、歴史遺産の3D化や法執行機関向けの捜査支援AIなど、最先端技術で多様な社会課題の解決に挑んでいます。
Website: https://ai-hive.org

日本企業にとっての協業機会
最後に「日本企業にとっての協業機会は何か」という問いに対し、松尾教授は「パキスタンは中東・アフリカとのネットワークが非常に強固であり、パキスタン企業と組むことで日本単独ではビジネスを始めるのが難しい当該市場へのアクセスが容易になる」と指摘。Yasar教授は「世界的に普及している既存のアプリへの依存を減らし、独自のAIを開発に繋がること、また日本製品への信頼が今もパキスタン社会に深く根付いていること、この2つが他国にはない協業基盤になる」と締めくくられました。
Q&Aセッション
会場からは、AI教育の特色、農村部での母子保健アプリ開発の可能性、現地での言語の壁など、実践的な質問が次々に寄せられました。母子保健アプリに関する質問に対しては、Yasar教授がネットワーク環境への具体的な対処策や、日本国内の大学との共同研究実績を踏まえた連携可能性を提示。その場で新たな協業の芽が生まれる場面も見られました。




Japan IT Weekにてパキスタン・パビリオンが昨年好評につき今年も出展
そして本日2026年4月8日(水)より3日間、Japan IT Week 春(東京ビッグサイト)にてPSEBおよびパキスタン企業が「パキスタン・パビリオン」として出展します。AI、エンタープライズシステム、クラウド、自動化など各社の得意領域で日本企業との具体的な協業を模索しており、ブースには日本語通訳が常駐。個別ビジネスマッチングをご希望の方はぜひ直接ブースへお立ち寄りください。本プロジェクトでは引き続き日本企業の参画を募集中です。PoC補助制度を含む伴走支援を活用し、パキスタンAIエコシステムとの最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


